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その7 「Non siamo lucidi=我々は今、ピカピカの状態ではない」

通常イタリアの6月はあまり雨の心配がないのですが、2016年に限って!!! 天気予報をみると、晴れのちくもり、雷雨、などとんでもない天気が続いています。 もともとタイトなスケジュール。大雨など降られたら大変です。 ということで、最後の最後まで天気予報をみながら、また撮影の進行も考えて 撮影後、ホテルの屋上のオフィス化した会議室で夜中まで翌日の準備の仕事が続きます。 撮影が終わったら終わり、、ではないんですね。 またカメラ隊は素材の確認など、ほんと休む時間ありません。 70名ものスタッフの動きをパズルのように、調整していくのです。 そんな調子で働いていますとだんだんと撮影後半になりますと、皆疲れが出てきます。 頭の回転が悪くなり、何度も同じことを繰り返し言っていたり、、。 涙目になってたり、顔が赤くなっていたり、メイクバッチリのイタリア人女性スタッフも朝からノーメイク状態だったり、微妙にハイな状態にもなりますね。 しかし、日本から来たスタッフは涼しい顔して、夜のプチ打ち上げでビールを飲んで笑顔で皆元気。 「日本人はクレイジーだ!なんであんなに元気なんだ?」 と。 映画業界慣れているイタリア人も驚いてて笑えました。 そんな時イタリア人スタッフ同士、お互いに言い合っていた言葉 ”non siamo lucidi”(ノン シアーモ ルーチディ) 「我々は輝いていない」→普段は輝き素晴しい我々だけれど、今は疲れて最高の状態ではないよね」 みたいなニュアンスでしょうか。 なんだか優しい表現で自分たちの状況を表していて、癒されます。 そんなイタリア撮影の後、まだまだ日本で撮影が続いた日本のスタッフは本当にタフです!! 楽しいスタッフの皆さん!シエナで合宿のように過ごした日々が懐かしいです。 ご一緒にお仕事できて楽しかったです。 またイタリアスタッフの皆さんもキャラ強い人多くて楽しかったです。 ヘビースモーカーだらけのスタッフとの長かった準備期間もいい思い出です。 また皆さんとご一緒にお仕事できることを祈ってます! 今回ので最終回になります。 長い間、お付き合いありがとうございました!

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その6 「ミッション→30分以内で夕食を」

日本のようにいわゆる「お弁当」の無いイタリア。
サクッと食事をする、、といった日本的な感覚はよくわかりますが、イタリアでそれを用意するのはなかなか大変。 パニーノばかりでは食欲も無くなってしまいますよね。
しかも皆さんハードな仕事続いていますので栄養とらないとなりませんしね。 少しでもイタリアの美味しものを食べてもらいたいという気持ちもあります。 そんな中、シエナのど真ん中で、夕食を30分以内には食べて終わりお店を出て行ける場所を探すといったミッションが。 シエナのカンポ広場から歩いてすぐのところです。 う〜〜ん。 結構、難しいですよね。 パニーノも続いていますし、折角の歴史的地区の中ですので、暖かいもの食べていただきたいですし。 ダメもとできちんとしたレストランに聞いてみました。 なんとオッケーとのこと!! メニューは事前にすべて決定し、座るやいなやどんどん持ってきてほしい、、、との指示にも見事にこなしてくれたレストラン。 しかもすっごく美味しい。

ぜひシエナに行ったらオススメです。 Ristorante Bagoga(Via della Galluzza 26 Siena)

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その5 「工事は終わるから大丈夫」

ヴォルテッラ市 ヴォルテッラはトスカーナの中で少し外れにあり、フィレンツェからも車で1時間半と交通の便の不便さもあり、なかなか観光客が訪れにくい立地にあります。 しかしながら古代ローマより前のエトルリア人の文化遺産が残っていたり、錬金術の印のようなものが残っていたり、お城のような今でも現役の刑務所があったりとちょっとミステリアスな丘にある町です。アラバスターといった不思議な大理石のような透明な石もあります。 その町の美しさ、ミステリアスさ、そして若く映画にも理解のある市長と議員さんの協力もあり、数多く回った町の中から撮影場所に選ばれたのですが、撮影時はメインな道を封鎖し、小学校や中学校の子供達も裏門から帰宅してもらったりと本当に協力していただきました。 原作がイタリアでも大人気ですし、その実写版ということで、注目も高く、さらに主役の山田涼介さんが大変人気ということもあり、基本、「極秘撮影」だったのですが、下見の段階で、黒い髪のアジア人が15人くらいぞろぞろと歩いていたり、やたらと大きなドローンを飛ばしたりしているので、小さな村では噂にならないはずはありません。 6月の撮影の段階では地元の新聞にも取り上げられました。 撮影時は情報を聞きつけて遠くからわざわざ見学にきたファンもいましたが、混雑もなく、スムースでした。 そんなヴォルテッラ市ですが、一点だけヒヤヒヤしたことがありました! 洗礼堂の広場も撮影場所に入っていたのですが、1月の下見の段階で広場で工事が行われていました。 「撮影が行われれる6月には工事は終わっていますよね?」との質問に 「もちろん大丈夫」との返事ですが、3月の下見でもまだその工事は続いています。 イタリアの工事の進行の遅さを知っている私は、結構心配でした。 そして、案の定! 5月の下見でも終わりそうでない工事。 しかも、なんだか立派な銅像が設置されているではありませんか。 一時的な展示のわりにはすっごくしっかりと設置されています。 議員さんは「大丈夫」と言ってくれますが、、、。 おそるおそる撮影数日前に下見に行きますと、きれいになっていました!(ホッ) 約束を守るために、一旦、撮影のために工事を中断してきれいにしてくれました。 しかもなんと、ヴォルテッラ銀行の工事だったのですが、その費用はすべて銀行が負担をしてくれたのでした。 さすが! 工事の依頼主が銀行でホントよかったです。 予告編でけっこうこの広場でてきます! またヴォルテッラの道も盛り上がったり、塔が倒れたりと大変なことになっています。 VFXってすごいですね。曽利監督率いる、制作会社のOXYBOT社すごいです。 去年の夏に訪れたのですが、昼間っから暗い部屋で大勢の技術スタッフがパソコンで作っていました。   今年の4月は、毎年行われるヴォルテッラアニメ祭りでハガレンの特別コスプレコンテストが行われ、レベルの高いコスプレイアーが登場していました! これからも映画の撮影地としてますます人気が出てくるであろうヴォルテッラ。 ちょっと足を伸ばして行ってみる価値ありです。 私のほうでもプライベートツアー受け付けています。 ご連絡お待ちしております。  

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その4「蒸気機関車が止まった?」 映画ハガレン イタリア撮影 

蒸気機関車を1日貸し切って撮影した日があったのですが、 窓からの景色を計算して、俳優さんに演技をしてもらいますので、窓からの景色がきれいなところでちょうどセリフを言っているようにタイミングを合わせなくてはなりません。 幸い一般の電車が走らない線路も通っているの為、機関車を前後に行ったり来たりしてもらうことが可能でした。 ということで、監督さんの指示に従い私はトランシーバーで操縦室に 「はい、戻ってください」 「はい止まってください」 「はいもう一度お願いします」 を繰り返すわけですが、、、夕方ごろだったかと思います、 「はい、もう一度お願いします」 と操縦室にお願いをしたところ、 無言で止まっています。 「あれ?」 「お願いします。」 と言っても止まっています。 なにやら、操縦室でもめているような様子。 そして 「もうこれ以上行ったり来たりはできない。機関車が壊れてしまう可能性がでてくる」 とのこと、、、。 「・・・・・・・」 日本スタッフも表情が固まります。 (事前に予告してほしかった、、、。) そして「あと一回だけ」ということで了解を得てなんとか 最後のワンテイクでクリアしたのでした。 ひやっとしましたね。

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その3 「一発勝負」 ハガレン映画公開に向けてのカウントダウン 

最近ではドローンも小型なものがでてきて身近なものになってきていますが、 小さなドローンは飛行時間も長く、小回りが利きますが、映画撮影では立派な最高級の大きな重いカメラを積むため、ドローンも大きなプロ仕様のものになります。 そうなりますと重い分、一度に飛ぶ時間も12分間とかと限られてきます。 しかも風とかによって微妙に変わってきます。 さて、そこで蒸気機関車が走ってくるシーンを撮影しようということになりました。 この年代ものの機関車は観光用に一ヶ月に1~2本しか走っていません。 しかも、その広大な景色が入るポイントの通過は一回のチャンスしかありません! DEAD OR ALIVE ,, ALL or NOTHING 、一発勝負!! といった一回きりのチャンスです。 何度か練習をし、スタンバイします。 しかし、その大きなドローンは「飛べ!」といえばすぐにスッと上がるのではなく、微妙に時間がかかります。しかも高いところまで上がってスタンバイしなくてはなりません。 美しく機関車がカーブで入ってくるところの撮影ポイントは、電波の入りにくいトスカーナの山奥。携帯の電波も、トランシーバーも微妙です。 しかもイタリアの機関車です。時間通りに正確に発車するとは限りません。 機関車が発車したら連絡をする人。途中の橋で通過したら連絡する人、などとスタッフは別れます。 よりによって天候は、数分ごとに変化するほどの気まぐれ状態。雨が降ってきたら終わりです。ドローンは飛びません。強すぎる風もダメです。 機関車の待ち時間、しかも雨がポツポツ降ってきました。 そして、いよいよ機関車が前の駅を発車との連絡が。 ドローンを飛ばしました。 微妙に早く飛ばしすぎた感がありましたが、もう遅いです。 一度降りてまた上がるということは時間的に無理です。(バッテリーの交換に時間がかかります) 高く上がっていきます。 高く高く上がっていきます。 「ブーンブーン」と音が響きます。 私たちはカメラに映らないように茂みに隠れながら機関車がくるのを待ちます。 まだ来ない? 「ドローンはまだ大丈夫か?」 もう10分は飛ばしているような、、、そろそろ限界か? ドキドキハラハラの中、 「シュシュッ、シュシュッ」 やっと機関車がきました! 汽笛も響きます。 美しく煙のアングルも最高です。 ドローン飛んでいます。

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その2「曽利監督からのまさかの指示」

裏方の大変だった思い出もたくさんありますが、面白い経験もさせていただきました。 ハガレン兄弟のお母さんが亡くなる冒頭のお葬式のシーンですが、私もエキストラとして参加させていただきました。衣装さんに用意していただいた喪服を着て、髪もヘアメイクさんにまとめてもらい、アンティークな帽子や、黒い傘も持ち、ハンカチまであったと思います。アルとエドの親戚のおばさんみたいな感じでしょうか。 お墓はオルチャ渓谷の畑の中で行われたのですが、もともと粘土質な上、前日に雨も降っていたため、撮影セットを運ぶのに皆ゴム長靴を履いて大変でした。 撮影直前に黒いヒールのある靴に履き替えたのですが、ヒールが土に少しずつ沈んでいくのです、、、。しかも斜面で、まっすぐ立っているのも大変でした。 さて、太陽の光が出たところで、撮影開始! 「はい、アクショーン」 メインはもちろん、子役のエドとアル。私も一応なるべく悲しい顔を演じていました。 でも背中とかがチラッと映るくらいかな、、、と思って、立っていたら、いきなり監督さんから 「山川さん泣いて」 とまさかの指示が。 「えっ?」 と私は必死で目を開けて涙を出そうとしますが、そううまく泣けるわけありません。 後から思えば、ハンカチで目を吹くとか、鼻をすするとかすればよかったのですね。 すみません。 いや、女優さんって大変だな、、、と思った瞬間でした。 ちょい役でもセリフとかあるとプロの人にお願いするのもよくわかりました。 映画って本当に多くのスタッフがいて、80人近くの人が見守っている中でアクションするんです。そのプレッシャーの中自然に演じきるのってやはりすごいです。 私のお葬式の参列シーン。カットされているでしょうね。 でもチラッと映っているかもしれません。(ちょっと期待) 観た人、教えてください。   その3へ続く。

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その1 鋼の錬金術師の公開に向けての撮影裏話エピソード紹介

「鋼の錬金術師」の映画もいよいよ今週の金曜日公開ですね。 公開に向けてカウントダウンを兼ね、いろいろ思い出を綴ってみたいと思います。 イタリアでの撮影はもう去年の話になりますが、私はイタリアユニットのアソーシエイトプロデューサーとしてお仕事に参加させていただきました。 テレビの撮影とは全然違う映画撮影。 関わる人数の多さと、下準備の徹底ぶり。そしてかける金額の違い。 日常では味わえない特別な映画の世界でした。 <ロケハンの日々> 最初お話をいただいた時は、もう約2年前になりますがロケーションハンティング(撮影の場所選びです)でした。 イメージする画像を送っていただき、それにぴったりの場所を探さなくてはなりません。 まずは、アニメで「鋼の錬金術師」を見て(40エピソードくらいあったような気がします。とにかく長いので全部見るのは大変でした。毎晩夕食の後に少しずつ見ていきました。)、台本を読み、イメージを固めていきます。 トスカーナでということで、モンテプルチャーノ、モンタルチーノ、モンテレジョーニ、サンジミニャーノ、シエナ、ピエンツァ、サンガルガーノ、アッシャーノ、ヴォルテッラなど、もっと小さな町や、個人経営のお城なども含めとにかく車を走らせ、歩きまわりイメージにあった場所を探し、写真を撮ります。 「廃墟になっている工場」とか「機関車の通る駅」「お墓」を探すので観光とは視点が違います。 予告編でも使われているエドとアルの家はイメージ写真を見た時に「オルチャ渓谷」と思い、車を走らせて、一番最初に遠くからズームでカメラに収めた家が結局、見事曽利監督にも気に入ってもらい決定となりました。 (その2に続く)  

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